一次面接

その後私は転職エージェントからいくつかの外資系企業を紹介されたのですが、実際に応募したのは現在勤務する外資系化学メーカーだけでした。
応募の理由は三つあって、まず一つ目は私の以前の会社とビジネス上の関係性が薄く、応募したことがバレにくいこと。同業他社間の取引も多い狭い業界ですので、取引のある会社に応募すると、両社の管理職間のネットワークで情報が筒抜けになってしまうのです。このことが理由で、日系外資問わず応募を断念した企業がたくさんありました。
二つ目の理由は、取扱製品のラインナップが私が以前の会社で担当していた製品と類似しており、入社後自分の能力を活かして即戦力で活躍できそうに思えたたこと。
三つめは、グローバルエクセレントカンパニーとして業界でのプレゼンスが高く、一度働いてみたいと思える企業だったことです。
書類選考を通過した私は一次面接を受けることになったのですが、外資系企業の面接は初めてということで、とても緊張していました。面接場所は名古屋オフィスの会議室で、特に外資系っぽい雰囲気は無く、日系企業とあまり変わらないな、という印象でした。面接官は営業部門の男性マネージャー二名でしたが、面接の雰囲気は今までの日系企業とまったく違うものでした。採用側と採用される側の目線がとてもフラットで、圧迫面接のような質問や応募者を見下すような態度は一切無く、非常にオープンで話しやすい雰囲気でした。面接終了後時計を見ると、なんと入室から2時間が経過していました。
一番緊張したのは、面接の最後に「英語で今日の感想を言ってもらえますか」とリクエストされた時ですが、簡潔に感謝の言葉を伝えることができて事なきを得ました。そして最後の挨拶のとき、「次はアメリカ人が面接します。頑張ってください。」と言われました。今まで日系企業の面接で辛酸を舐めてきた私にとっては涙が出るほど嬉しい言葉で、これはもしかしたらいけるかもしれない、もしかしたらグローバルカンパニーの一員になれるかもしれない、という期待感でいっぱいになりながら帰路についたことを思い出します。