最終面接②

最終役員面接でのやり取りについて、当時のノートに記録が残っていました。
・転職理由は?
成果を求められる環境で仕事をしたいと思ったから。
・成果を求められない環境というのが理解できない。具体的にどんな環境か?
表面的な客先との関係や対面を気にして、赤字のビジネスを放置する。正確に言うと、成果を出すことが最優先では無い環境。
・そう思うならなぜ今の会社で17年間も働いたのか?
入社5年目ごろまでは仕事を 覚えるのに必死で、余計なことを考える余裕は無かった。20代後半からは、仕事の成果がどんどん出てきてやりがいを感じ、我武者羅に働いた。30代後半になり管理職が近づくにつれて、会社の方向性みたいなものが徐々に見えてきて、自分の考えと違うことがはっきりと分かった。
・自分の考えが会社の指示と違うとき、どのように行動したか?
まず自分の考えを上司に伝え、考えの溝を埋めるように努力した。考えの溝が埋まらないときは、最終的には上司の指示に従った。
・今後どのようなキャリアプランを持っているか?
今までの経験を活かし、しばらくはプレーヤーとして会社に貢献 したい。将来的にはマネージャー職をやりたい。
・なぜマネージャー職をやりたいのか?
今までいろいろな管理職を見てきて、「自分ならこうするのに」と思うことが多かった。常に経営的視点で仕事をするよう意識していたので、管理職として自分の能力を試したいと考えた。
・経営的視点とは何か?
成果を出すことと、部下のモチベーションを上げるために、「逃げない」ことだと思う。
私がこのように答えると、役員の厳しい表情が笑顔に変わりました。
「あなたの考え方は当社に合っているので、是非当社で一緒に働いて欲しい。この会社では言いたいことを我慢する必要はまったく無いので、自分が正しいと思う考えや意見をどんどん出して、思う存分暴れまわってください。」
この言葉を聞いたとき、私は全身からすべての力が抜けてその場で崩れ落ちそうになりました。
そして同時に、今まで会社生活で味わった苦しみが一瞬にして頭をよぎりました。
誰も助けてくれなかった在庫引き取り交渉、赤字ビジネスからの撤退や同僚へのサポートを非難されたこと、不採用続きの転職活動、そして最後は「放出者リスト」に入れられて部署を追い出されたこと。
捨てる神あれば拾う神あり。
最後の最後に、私を見捨てなかった神様がいたのです。