最終面接③

私に採用内示を伝えてくれた役員は、その後こう続けました。
「希望年収が現在よりかなり高いようだけど、基本的には入社してから成果を出して給料を上げていってください。人間の能力なんか面接だけですべては分からないから、こちらも最初から高いお金を払うのはリスクがある。この後人事部を呼ぶから、人事と話してください。」
そしてその後人事部のマネージャーと担当者が入室し、年収交渉が始まりました。向こうはプロなので、報酬を低く抑えるために様々なプレッシャーを私にかけてきます。押し問答の末最後に言われたのが、「転職理由はお金か仕事内容のいったいどちらなんですか?」でした。私はこの言葉に対して咄嗟に反応できず、抵抗することをあきらめました。
今になって考えると、もっと粘ることもできたと思います。「私にとって仕事の内容はもちろん大切ですが、御社から頂く報酬も同じくらい大切です。報酬は私の市場での価値ですから、妥協することはできません。」今の私ならこれくらい強く言えますし、このくらい言うともう少し高い額を提示されたと思います。しかし当時は転職面接で不採用が続き、前職の会社で不用品扱いされ部署を追い出された直後です。自信を失っていた私は、あまり強気に出て採用を取り消されたら元も子も無いと考え、妥協することにしました。