外資系化学メーカーへの転職

前投稿「私が外資系化学メーカーに転職することになったきっかけ」からの続き

・転職活動スタート

 この出来事によって、私は急速にモチベーションを失いました。今まで15年間会社へ利益をもたらすことだけを考えて働いてきたのに、自分の上司は、利益よりもむしろ損失を支持している。これはこの会社の体質なので、今後も恐らく変わることは無いだろう。このままここにいてエスカレーター式に管理職になったとしても、この先もっともっと自分がやりたくない、面白くないことをやらないといけないだろう。そして自分自身が腐った人間になってしまうだろう。そう思った私は、転職を考え始めました。
 この時私は38歳になっていましたが、今まで転職など考えたことも無かったので、自分の武器になるようなスキルを何も身につけていませんでした。当然英語もできず、履歴書に書けるTOEICのスコアは新入社員のときに取得した480点でしたので、外資では無く日系の同業他社に転職できるチャンスは無いだろうか、と考えました。そしてとりあえず大手の転職エージェントに登録してみたのですが、当時転職限界年齢と言われていた35歳をとうに過ぎ、履歴書には営業経験くらいしか書けない中年サラリーマンですから、まったく案件を紹介してもらえません。

・A社からのインビテーション

 やっぱりこのまま今の会社で我慢して働くしかないのか、と考え始めたある日、一通のスカウトメールが届きました。それは同業他社のなかでも超一流の、業界内でプレゼンスの高い日系A社からのメールでした。そのメールには「経験のある優秀な営業マンを求めているので、是非応募してほしい。」というようなことが書いてありました。無知だった私は「A社に求められている!スカウトされた!」と勘違いし、新しいスーツを購入して、意気揚々と面接に臨みました。しかし、結果は惨めにも一次面接で不採用でした。エージェント経由で聞いた不採用の理由は、「英語力が無い」でした。スカウトメールというのは応募者を集めるための口実で、実際は単なるインビテーションなのですが、当時の私はそんなことすらも知らなかったのです。

・英語漬けの日々

 A社に不採用となったことは私にとってショックだったのですが、同時に私の狭い視野を一気に広げてくれました。不採用の理由が年齢ではなく英語だったので、英語さえ何とかなればまだチャンスはある、A社のような会社に転職できるかもしれない、と前向きに考えたのです。それでスイッチが入った私は、突然英語の猛勉強を始めました。トイレのなかでもお風呂でも英語を聞き、単語を覚え、オンラインレッスンを一日何時間も受け、平日の朝と夜、休日は一日中英語漬けの毎日を過ごしました。
 ただその頃の私は、40歳を目前に勉強を始めて、自分の英語力が本当にアップするのか、半信半疑でした。やるだけやって駄目ならあきらめよう、という感じで日々勉強していました。そして勉強を始めて1年ほど経った頃、TOEICを受験したのですが、その結果を見て驚きました。なんとスコアは730点までアップしていたのです。
 これに気をよくした私は、更に猛勉強を続けました。そして更に半年後、スコアは815点までアップしました。

・転職活動再スタート

 こうして履歴書に書けるレベルの英語力を身につけた私は、本格的に転職活動を再開しました。とは言っても自分の英語力にはまだまだ不安があったので、転職エージェントに対しては日系企業をメインで紹介してほしいとお願いしていました。すると、今までまったく紹介してもらえなかった大手日系企業の案件が次々と入るようになりました。英語ひとつだけで一気にチャンスが広がったことを実感した私は、日系企業何社かに応募し、ほぼすべて書類審査を通過しました。そのなかには日本を代表する財閥系総合商社もありました。

・外資系化学メーカーへの転職

 ところが、日系企業への転職活動はうまくいきませんでした。書類審査は通過するのですが、面接で不採用となるケースが続きました。その大きな理由は、恐らく年齢だったと思います。そして転職活動開始から約1年経った頃、私はある外資系化学メーカーを紹介され、その会社と仕事内容に魅力を感じ、応募しました。そして縁があって最終的に内定を頂き、その会社で今でも働いています。
 結果的に私にとってこの転職は大成功で、外資系という異文化環境で働くことで人間的に大きく成長できました。また、会社に依存せず自分の人生を主体的に切り拓いていく能力を身につけることができました。

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外資系化学メーカーへの転職” に対して2件のコメントがあります。

  1. 匿名 より:

    そのようなきっかけと努力があったのですね
    才能、バイタリティに満ち溢れているから転職を考えることができたのかと思っていました。
    努力に感服するとともに自分はまだまだだなと反省させられます。

    1. コメントありがとうございます!
      自分の場合、怒りがエネルギーになったかもしれません。また、自分自身が腐った人間になっていくことへの恐怖心もありました。

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